『あの頃。』感想・考察・レビュー【映画】

推しと青春

舞台は2000年代初頭の大阪。音楽活動に挫折し、無為な日々を送っていた主人公・劔(つるぎ)は、ある日、モーニング娘。の映像を目にし、衝撃を受ける。アイドルに夢中になった劔は、やがてハロプロファンの仲間たちとの濃密な時間を過ごすことになる。彼らとともに推しへの情熱を燃やし、人生を再び前向きに歩み始める劔。だが、青春の時間には限りがあり、仲間との別れや喪失も訪れる。

『あの頃。』の魅力は、何気ない日常の一コマに、自身の「あの頃」を重ねられる点にある。劔は真っ直ぐで不器用な男だが、その不器用さこそが観客の共感を誘う。また、仲間たちもそれぞれが強烈な個性を持ちつつ、どこか憎めない愛すべき存在として描かれている。さらに、当時のハロプロ文化やファン活動の描写がリアルで、特に推し活に馴染みのある人々には懐かしさと共感をもって受け止められるだろう。一方で、アイドルに詳しくない観客にも、好きなものを通じて人とつながる喜びや、青春の儚さが普遍的なテーマとして伝わる作品である。

『あの頃。』は、ただのアイドルオタク映画ではなく、人生のある一時期に、夢中になれるものがあったこと。その瞬間を共有できる仲間がいたこと。そして、かけがえのないあの頃があったことを、誰もが思い出すような作品である。


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