言葉の意味を知る作品
『舟を編む』は、主人公の馬締光也(まじめ みつや)が、新しい辞書「大渡海」の編纂に挑む姿を描いた作品である。辞書という「言葉の海を渡る舟」を作る仕事を通じて、彼自身が成長し、人とのつながりを深めていく。
馬締は、言葉に対する情熱はあるものの、人付き合いが苦手で不器用な青年である。しかし、彼はふとした出会いから、香具矢という女性に恋をする。彼女に心を奪われた馬締は、今まで感じたことのない気持ちに戸惑いながらも、素直にその想いを伝えようとする。彼の恋愛は、情熱的で激しいものではなく、不器用ながらも誠実なものである。彼の恋心は、言葉を大切にする辞書編集者らしく、手紙という形で表現される。この経験を通じて馬締は「恋」という言葉の意味を知ることになる。
「恋」のように様々な経験を繰り返して言葉の意味を知ることで辞書作りは進んでいく。そして、辞書作りの最後を締めくくる言葉は「感謝」。年月が経ち、馬締は「大渡海」の完成に向けて全力を注ぐ。辞書作りは一人では成し遂げられないものであり、多くの人の協力が必要で、編集部の仲間たち、長年辞書編纂に人生を捧げた松本先生、そして家庭を支える香具矢の存在。彼らの支えがあったからこそ、馬締は自らの役割を全うできた。そして、辞書の最後に載せる言葉として「感謝」が選ばれる。
この映画は、私たちに「言葉の意味は辞書の中だけにあるのではなく、実際に生きることで理解できるものだ」と教えてくれる。言葉を通じて自分自身を知り、人と繋がることの大切さを改めて感じさせる名作である。
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