人生はまだ始まってはいない
『キッズ・リターン』は、青春映画のような鋭くも切ない人間ドラマである。無気力に日々を過ごす高校生たちが、夢と現実の間でもがきながら、自らの道を模索し、やがて分かれ道へと向かっていく。
物語の中心となるのは、高校時代からの親友であるマサルとシンジの二人。いたずらと喧嘩に明け暮れる毎日を過ごしていた彼らは、進路も未来もあいまいなまま、どこかで「何者かになりたい」と感じていた。やがて二人はボクサーにぶちのめされたことをきっかけにボクシングを始める。しかし、ボクシングの才能が開花するのはシンジのみ。シンジはボクシングの道へと進むがマサルはヤクザの道へと進む。二人はそれぞれの世界でのし上がっていくが、成功の果てには厳しい現実と自己の限界が立ちはだかる。やがて挫折した二人は再開し、シンジは何気なくマサルに「俺たちもう終わっちゃったのかな?」と問いかける、それに対しマサルは「バカヤロー、まだ始まっちゃいねえよ」と答え映画は幕を閉じる。
『キッズ・リターン』という映画はラストシーンでマサルが放つ「まだ始まっちゃいねえよ」というセリフに象徴されるように、この映画は「青春の終わり」ではなく、「再出発」を示唆する物語でもある。挫折し、迷い、失ったものがあっても、人生は終わらない。いつでもやり直せる。大人になった今こそ、もう一度見返したい、そんな作品である。
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