自然と人間の共存がテーマであり、現代人に見てほしい作品。
舞台は中世の日本。エミシ一族の青年アシタカは、村を襲ったタタリ神を討つ際に呪いを受けてしまう。呪いを解くために旅に出たアシタカは、人間の開発によって荒廃しつつあるシシ神の森へとたどり着く。この森では、自然の神々と人間が激しく対立している。人間側の代表として登場するのは、タタラ場を率いるエボシ御前。エボシは鉄を生産するために森林を伐採し、自然を切り開くことで人々の生活を豊かにしようとしている。一方、森を守ろうとするのは、シシ神をはじめとする獣の神々や、オオカミに育てられた少女サン。サンは人間を憎み、森を侵す者たちと戦っている。
アシタカは、この争いに対してどちらの味方をするのでもなく、ただ戦いを止めることを目指します。彼はエボシにもサンにも寄り添いながら、共存の道を模索する。
映画のクライマックスでは、シシ神が首を奪われたことで森が壊滅的な被害を受ける。しかし、最終的に首が返されると、森は再生する。全てを破壊し尽くすのではなく、またゼロからやり直す。この過程が『もののけ姫』の伝えたいメッセージの一つだと思われる。そして、アシタカの最後のセリフ「共に生きよう」が、この作品のすべてを表している。人間と自然は敵対するのではなく、共に生きる道を探さなければならないのだ。
現代ではSDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれ、環境問題への関心が高まっている。『もののけ姫』が描いた「自然と人間の共存」のテーマは、まさに今の時代にこそ必要な視点であり、エボシのように合理的に発展を追求するのも一つの道ではあるが、サンのように自然の視点を持つことも大切である。そして、アシタカのように両者の間に立ち、調和を探る姿勢こそが、未来に向けて必要なのではないか。『もののけ姫』は、今の時代だからこそ全人類に観てほしい作品である。
「ジブリで一番好きな作品は何か?」という問いは、実質的に「風の谷のナウシカ」と「天空の城ラピュタ」のどっちが好きかという問いであるが、敢えて「もののけ姫」と答えたい。
ナウシカとラピュタで言えばナウシカが好きだが、ナウシカは漫画版が至高であり、2時間の映画の枠に収まっていない。「もののけ姫」も自然と人間の対立がテーマであり、ナウシカをリメイクしてうまく2時間の枠に収めたようにも見える。映画として楽しめる作品としては「もののけ姫」がジブリで一番だと思う。
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